4時間ぐらい寝たところで9時ぐらいに目が覚めた。前日、結構お酒を飲んでいたからか、カーテンを閉め切れていなかったからか、iPhoneをおやすみモードにしていなかったからか、思い当たる節がいくつかある。カーテンを閉める元気もなく、枕元に置いていたアイマスクをつけて二度寝した。正午ちょうどぐらいにアラームで目を覚まして、スマホを見ながらダラダラする。布団のなかで福尾匠の「スパム」と「ミーム」についての文章を読み、スパム的になるためにはまずは身体から、とスパムを食べたくなった。一人暮らしだと缶詰のスパムを一回で使い切れなくて買うのを躊躇してしまう。ファミリーマートにスパムおにぎりがあるのはちょうどよかったのけれど、のりの巻き方が握り寿司にマジックテープを巻いたみたいな感じに変わり、のりの面積が少なくなって残念である。ちょっと歩いたところに十分なのりで包んでくれるスパムおにぎり屋(厳密にはポークたまごおにぎり屋らしくスパムを使っているかはわからない)があったことを思い出し、つっかけで外に出る。
いろんな種類があるなかいちばんシンプルなポークとたまごだけのものをテイクアウトで注文する。ポークとたまごを焼く人、それらをのりとご飯で包む人、接客をする人という風に分業体制が敷かれていた。たまごとポークを焼く担当の人がたまごを焼きながらまあまあな声量で「ありがポーって言って」と言った。のりとご飯で包む担当の人が「ポー」と返した、というか呟いた。そういうユニークなルールのお店なんだなと思い、おにぎりを渡されるとき「ありがポー」と言われたらなんて返したらいいんだろう「ポーいたしまして」かなと逡巡していると、接客担当の人に「ありがとうございました」とふつうにポークたまごおにぎりを渡された。のりとご飯担当の人も「ありがとうございました」と繰り返す。ポークとたまごを焼く担当の人は淡々とたまごを焼いていた。何なんだと思いながら店を出た。暑くもなく寒くもなく、日差しの優しいちょうどよい天候だった。小春日和ってやつですかね。
大学で同期や後輩たちと研究室でタコパだったので、スパイスやマサ粉、ジャークチキンペーストに漬けておいた鶏もも肉などを持参し大学に向かう。たこ焼き風タコスはあり得そうだけど、タコス風たこ焼きはしっくりこない。そういえばこの前、銀だこでチーズ&ワカモレのたこ焼きが売っているのを見かけた。タコスってほどでもなさそうだけれど今度食べてみよう。逆と言えば、サックスの音色は人の声に似ているとよく言われるのだけれど、サックスのような歌声の人っているのだろうか。中村佳穂の歌声は近い気がする。『LINDY』の間奏の太鼓のあとの「全部あげる」(すごい歌詞だ)とか、などと考えながらバスに乗っていた。鶏もも肉を隠し持って公共交通機関を使うのは変な気分だった。今日は飲まないつもりだったけれど、研究室の冷蔵庫にタコハイがあったのでこれもタコだなと思い、飲みながらメインの具材となるカルニタス(メキシコの豚の角煮のようなもの)を煮る圧力鍋の見張り番をしていた。タコハイのタコは多幸からきているらしい。多幸でハイはなんだか危ない。ヒロポンみたいなもんですかね。